学生のものづくり教育に利用出来るマイクロコントローラは年々市中で入手可能なものは少ない状況になっている。そこで入手が容易で、かつアセンブラによるプログラミング教育に適しているアトメル社のマイクロコントローラによる回路を設計・試作した。当初計画ではマイクロコントローラボードのみの設計であったが、近年の集積回路技術や設計法の進展などを考慮してこのボードにCPLDを組み込み、機能をアップさせて市販品では得られない教育的効果の高い実験機材とした。 また、フラッシュROMに書き込むタイプのプログラム開発法が一般的であるが、メモリアクセスの頻度の高い教育現場にはRAMを利用した構成が経済的である。このためメモリシステムやインタフェースICにも配慮した設計とした。特にインタフェースICには前述したように汎用LSIの他にCPLDとこの専用プログラム端子を装着することで幅広い応用を可能にしている。 基本的なデバッグモニタの設計と仕様は完成した。現在動作試験により不具合や使用感のチェックを行い、教育に適した細部の手直しを行っている段階であり、更に高機能のリアルタイムモニタの開発を行う予定である。使用手引き書も並行して作成しており、完成次第学生に使用させ、デバッグ作業を行い、学生実験に繰り入れる予定である。ただし、CPLDの操作法については計画を拡張したことで操作手順書の作成が遅れている。 ネットワーク環境は幸いにも学校のネットワーク設備が高速化されたのでプログラム開発に役立っている。各種インターフェースを利用した機器はモータドライバ(直流モータやパルスモータ)は完成し、他の実験ですでに利用している。 タイ国パトムワン工業大学との井同研究は、当地で使用しているマイクロコントローラボードにCPLDを組み込んだ構成かインタフェースによるものか共同研究者と検討した結果、予算的な問題もあるため、別のボードとすることに決まり、その実験も現地で終わりボードと実験指導書の作成を行っている。
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