本研究は学生のものづくり実践への使用を目的としたマイクロコントローラを核としたワンボードマイコンの設計製作と、そのソフトウェア開発を行うためのデバッグモニタの改良を行い、市販品では得られない効率的なアセンブリ・プログラミング教育の質の向上を目標としたものである。 当初計画の単一種類のマイクロコントローラボードのみならず、近年の回路技術・設計法の進展を考慮した結果、回路素子にCPLDを組み込んだ実験機材とした。また単品種のマイクロコントローラに限らず、学生が入手可能な3種類のコアプロセッサを組み込んだボードを用意した。また機能上可能な機種には、高級言語を利用したプログラミングにも対応したRAMを配置して教育現場向きとした。これらのインタフェース端子の構成は、差し替え可能な多目的利用を考慮した形式とした。 基本的なデバッグモニタの設計と仕様についても各ボード間で同じ操作と動作を行うように配慮したが、逆アセンブルについては省略した。今後とも動作試験により不具合や使用感のチェックを行い教育に適した細部の手直しを行っていくが、教科の講義には別種のマイクロプロセッサを利用している状況があり、コース別実験や創造性開発実験、ロボットコンテストへの利用などの特殊ローテーションや課外活動に取り入れる。 ネットワークを利用するマイクロコンピュータボードについては半田付けの困難さから市販のボードを採用した。ネットワーク上では他の通信妨害や宛先不明のデータが発生しないようにプログラム開発段階(デバッグ作業)ではプライベートネットワークのクロス環境で利用することを考慮してシステムを構築している。今後はITRONなどのリアルタイムモニタの開発学習を卒業研究学生に行う予定である。 使用手引き書は初心者(学生対象)でも判りやすく、簡潔な言葉使いを心掛けて作成した。前述したようにどのボードでも同じ操作となるよう配慮した。CPLDの操作法については当初計画を拡張して、低学年生(2年次)での利用を考慮してマイクロコントローラとは別メニューで利用できるように作成して平成15年度実験に採用する予定である。また、インタフェース機器については前年度に基本的な機器類は製作済みであるが、応用機器については十分な時間の余裕がなく、今後順次整備していく予定である。 タイ国パトムワン工業大学との共同研究では、スチューデントプロジェクトにおいて温度制御装置のボードが完成しソフトウェアの修正中であり3月末には完成する。ネットワーク上でのコントローラもボードを供給しそのソフトを作成中である。
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