本研究では、教職課程履修者を対象として、授業を設計・実施・評価・改善する能力を育成するために、これらを一連のサイクルとして一貫して支援するシステムを開発した。具体的には、以下のことを行った。第1に、Windows上で動作するサーバ・クライアント型の「一斉授業実施支援システム」を開発した。これは、教師側から生徒側にさまざまなコンテンツを配信し、表示したり、生徒側からの反応を収集するためのシステムである。第2に、これまで、Windows上のアプリケーションとして開発され、特定の場所でしか使用できなかった「授業設計訓練システム」をWeb版に改良し、インターネット経由でアクセスできるように改良した。この際、教科書データベースの著作権の問題を解決するために、教材情報の自動生成を行う方法を検討した。第3に、「授業設計訓練システム」と「一斉授業実施支援システム」とを連携させ、「授業設計訓練システム」で作成した指導案を用いて、「一斉授業実施支援システム」で教材を配信し、その時の生徒の反応を収集して、教師に助言を提示したり、さらには、生徒の反応に応じて個別対応を容易に行える機能などを持った「授業訓練システム」へと発展させた。このうち、「Web版授業設計訓練システム」と「授業訓練システム」について、教職課程履修者を対象に、評価実験も行った。「Web版授業設計訓練システム」については、従来の「授業設計訓練システム」との比較において、自由な時間・場所から利用できる点は高く評価されたが、インタフェースについては改良の必要があることが分かった。「授業訓練システム」については、生徒からの反応を収集し、提示することで、指導案の改善に役立つことが確認された。
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