本研究は、パソコンなど情報機器を利用した学習時の人間の心理的・精神的変化を電気信号として捉えることを目指して着手した。e-Learningなど、遠隔学習指導の機会が多くなることに合わせ、この研究成果を学習指導に使うことを狙いとした。 電気信号として計測される心電図、脈波、発汗、筋電図などの生体情報データは、身体的・生理的な事柄だけでなく、心理的・精神的事柄をも反映している。本研究では学習行動に注目して、心電図生体反応データを計測し、その解析から学習者の生理的・心理的・精神的変動状況を解明する。この成果は、インターネットなどを介したCAIによる個別学習や遠隔学習支援において、学習者の心理的・精神的状況の情報を教授者側に提供する有力な手段を与える。 学習時の緊張と緩和に関する情報は、学習進行状況の管理にとって非常に重要である。たとえば「緊張しているにも拘われず成績がよくない」場合、「成績が悪いにも拘わらず緊張感もない」場合、「成績はよく緊張感はない」場合のなど様々な状態に対して、成績だけでは不可能なきめ細かい学習指導を可能にする。平成14年度では、学習の障害にならない手首にセンサーを取り付ける四肢誘導型計測法を用い、センサー取り付け位置やセンサーの感度調整で、ノイズの除去や特徴量の効果的抽出を容易にした。データ解析によって交感神経と副交感神経の活性度を算出し、被験者の緊張と緩和を推察する手法を開発し、ゲーム/に挑戦している被験者の緊張と緩和の状況判別に成功した。実験の結果は、緊張と緩和の状態を電気信号で捉えうることを確認し、別冊の報告書にその詳細を示した。
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