ネットワーク上に分散するe-learningシステム資源の再利用のメカニズムを明らかにするため、オブジェクト指向技術に基づく学習情報リポジトリの概念モデルを構築した。本リポジトリは、メタモデル・モデル・オブジェクトベースの3階層から構成される。メタモデルとして、オブジェクト指向分析手法を用いていることから、分散オブジェクト技術であるCORBA (Common Object Request Broker Architecture)を適用することが容易な構造となっている。 (1)学習情報リポジトリを核にしたe-learningシステムの開発方法論の検討 ・e-learningシステムのアプリケーション・フレームワークの構築 個人学習およびグループ学習を支援するための概念モデル ・e-learningシステムのコンポーネントの構築 教材オブジェクト、カリキュラムオブジェクト、教授方略オブジェクトが再利用可能なコンポーネントとして学習情報リポジトリ内に格納される方式 ・教授方略オブジェクトのマルチエージェント化 戦略層・タスク層・アクション層の3つのエージェント群からなるアーキテクチャを考案し、タスク層をガニエの学習能力モデルに基づき「知的スキルエージェント」、「認識エージェント」、「言語情報エージェント」、「動作エージェント」、「態度エージェント」にマルチエージェント化 ・学習情報リポジトリの分散オブジェクト化 (2)カナダのモントリオールで開催された国際会議E-LERAN2002のフルペーパ部門で発表し、聴衆の高い関心を得た。(平成14年10月) ・本国際会議は、大学関係者のみならず、かなり多くの実務関係者が出席していた。その中で、本研究の発表が高い関心を持たれたのは実践的なニーズの裏打ちであり、期待以上の驚きと同時に、本研究のさらなる進展を目指す良いモチベーションとなった。
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