研究概要 |
視覚障害に起因する情報格差(デジタル・ディバイド)をなくすべく,触覚と聴覚を利用した視覚障害者用マルチメディア端末を開発・検証することを目的とし,システムの試作と視覚障害者による試用・評価を行なった. システムは,3軸アームの先端に取り付けたペンデバイスを入力装置として,触覚ディスプレイ及び音響を出力とする.従来の同様な触覚ディスプレイシステムと比較して,視覚障害者自らが触覚ディスプレイ面に対して位置入力が可能であることが大きく優れている点である.アプリケーションソフトウェアとしては,平成13年度までに,ペンによる描画・ピンポンゲーム・漢字学習ソフトなどを製作している.そしてゲームに関しては若年層の,描画・漢字学習に関しては盲教育関係者の関心が高いことが伺えたため,今年度はハードウェアを更に改良・小型化し,更なる評価を進めた.主な改良点は,ペンデバイスの描画感を良好にするためのパンタグラフ機構の導入,電池駆動化,指サック型アタッチメントの製作などである.この改良型のデバイスを海外や国内盲学校に運び,各地の視覚障害者に試用してもらった. その結果,触覚ディスプレイ自体の解像度の粗さは指摘されたものの,直感的な位置に対する操作が可能な点は高く評価された.ピンポンゲームに関しては,音情報と触覚情報,位置入力がミックスされた未知の体験と思われ,システムに触れた全員が非常に高い興味を示していた.漢字学習ソフトに関しても,部首ごとに分けて触覚提示できる点など評価が高かった.
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