本研究は、地域情報化の社会的な援助を講じるための知識をシスティマティックに確立しようというものである。特に、地域の構成員であるにもかかわらず社会的弱者や情報弱者としてあまり注目されない人達(高齢者、障害者)が、その地域の情報化の成功を左右する重要な鍵を持っているのではないだろうかという視点から、高齢者や障害者への支援のあり方を丹念に調査することに重心をおいている。 そのため、本年は、高齢者と障害者がパソコンやインターネットを利用するにあたっての障害がどこにあるのか、それを考慮した支援をどのようにすればよいかなど、支援を受ける側にたって綿密に調査し、コンピュータ利用支援の基礎資料を作ることに焦点をあてた。実施したフィールド調査の内容は、1)富山県山田村の高齢者へのコンピュータ支援、2)全国的な障害者のコンピュータ利用の現状調査、3)富山県高岡市の情報化支援活動団体(ボランティア)との連携による支援の方向性調査などで、現在も調査とデータ整理を実施している。 また本年度の研究では、データの整理にフィールド調査用の分析ソフトウェアを使用し評価することも実施項目の一つにしている。現在のところ調査内容が多岐にわたる場合には汎用ソフトでのデータ整理が扱いやすく、調査時間や内容が比較的狭い範囲では内容を上手く構造化できる分析ソフトが利用しやすいという評価をしている。ただし、これらの評価研究は前述のフィールド調査同様、次年度も引き続き実施する必要がある。 さらに、地域情報化の支援場面では、支援する側と支援される側が信頼関係をうまく育むことができた場合には、効果的に、別の相互支援の関係が生まれており、このことは、地域のみならず大学教育にも生かすことができるのではないかと考えられる。次年度はこの点についても研究する予定である。
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