本研究では、障害者や高齢者をもまきこんだ情報化つまりアクセシビリティな地域情報化を支援するための社会的な援助のあり方を確立しようとしている。昨年度(平成13年度)は、障害者や高齢者がコンピュータを利用する際に問題となる状況や障害者のコンピュータ利用の全国的な状況を調べ、調査データの分析方法などについて研究を行なった。 本年度は、山田村全村民(高校生以上全員:1600名程度)を対象とした情報化調査を実施した。これは情報化モデル地区に指定されて以来、村としてはじめての本格的な量的調査であり、地域情報化7年めの実情を知ること、さまざまな生活者の要望から新たな方向性を探ることが目的である。実施にあたっては村民の協力もあり、回収率は85%を超える非常に高いものであった。調査結果では、村民の半数がパソコンを利用しているものの、高齢者の利用率は非常に低く、配布された旧式のパソコンの使い勝手の悪さ、一斉講習よりも個別講習の要望が増加しているなど、今後の地域情報化の課題が明確になった。これら調査の結果は、中間報告を平成14年12月に作成し山田村で報告会を実施した。また、詳細に分析した報告書は、平成15年3月に製本した。同時に山田村のホームページ上でも順次公開済みである。来年度にはこれらの調査結果を補完する追加調査を実施し、アクセシビリティな地域情報化とはどのようなものかを山田村の事例や他地域の事例などから考察したい。 さらに本年度は、情報化支援活動団体(ボランティア)と連携することで、地域の障害者支援のあり方を探る研究も進めてきた。視覚障害者への支援が中心であったが、ここで得られたことは、地域情報化の支援場面では、支援する側と支援される側が信頼関係をうまく育むことができた場合にその効果が高く、多くの情報を共有することができることがわかった。来年度は、これらの事象を検証する必要がある。また、支援団体のあり方などについても考察したい。
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