本研究は、障害者や高齢者を念頭において実施するアクセシビリティな地域情報化の社会的な援助のあり方を確立しようとしている。初年度(13年度)は障害者や高齢者がコンピュータを利用する際に問題となる状況などを調べ、昨年度(14年度)は情報化モデル地区に指定されて7年が経過した山田村の現状について全村民を対象としたアンケート調査を実施し、地域情報化への1つの評価を行ない、結果は報告書およびHPに掲載した。 本年度は、支援を通したフィールド調査の継続に加え、障害者への支援を通して、今後のITの可能性について、支援する側とされる側との信頼関係が支援効果に大きな影響を与えるという事象について客観的な検証を進めた。その一つの実験として、大学での公開講座に、山田村の高齢者の支援活動をした学生による自主的な公開講座支援システムを組み立てた。 さらに、本年度2月末には、情報化支援活動団体(ボランティア)と連携し、パソコンボランティア養成講座を企画した。本企画は、3年間の総まとめの位置づけにもなっており、研究の成果を成果を盛り込んだ内容とした。特段の成果は、受講生への講座のほかに支援者および支援される側からの発表とパネル討論型のシンポジウムを開催し、高齢者・障害者だけでなく、広く一般の住民との情報交換の場を設け、インタラクティブな意見交換ができた点である。 また、国内外における障害者や高齢者への情報化支援や情報アクセシビリティに関しての世界的な取り組みの調査(フィンランド、アメリカ)および実際のソフトやWebの使い勝手などの検証を実施した。具体的には、視覚障害者への支援を通して、ホームページ読み上げソフトや視覚障害者用メールの使用チェックなどである。その結果、支援の範囲や支援体制の相互の了解の確認が今後の支援活動に重要でかつ早急な支援の体系化が必要であること、そして、本研究の次なる発展のための貴重な資料を得ることができた。
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