本研究は、高齢者や障害者など社会的弱者とみられる層への情報化支援の在り方の知見を丹念な調査によって見出すことを念頭においた。研究の実施と成果は次の5つにまとめられる。 (1)山田村全村民調査を実施し、高齢化社会の情報化へのひとつの評価を行った。村として始めての量的調査で、回収率は85%を超え、PCの利用状況や意識の変化から、今後の地域情報化の課題が明確になった。村民へは早い段階で公表した。(2)家庭訪問や行事参加などを通して生活の中野質的な調査を実施し、現在の山田村の情報化2極化と淘汰が進みつつある現状を整理し考察した。(3)高齢者への支援の体制として、主婦、高岡短期大学生が支援をする講座を実施した。発話や態度を調査することで、地域一体型教育のヒントを得ることができた。(4)障害者支援では、ボランティアと連携支援を実施し、ITを活用することで、健常者が障害者、障害者同士、障害者が健常者という新しい支援の形の可能性を発見した。また、パソコンボランティア養成講座とシンポジウムを開催し、障害者も含めた広く一般住民とのインタラクティブな意見交換の機会をつくった。(5)国内外における情報化支援機器やアクセシビリティに関して調査するとともに、web読み上げソフトや視覚障害者用メールの使い勝手など実際の支援で明確になった事項を整理した。 以上、本研究の成果は、情報化初期から普及期の具体的な資料として、また、地域における高齢者や障害者を含めた情報化の進め方の資料として活用されることが期待できる。さらに、支援の範囲の見極めや相互の了解の確認が今後の支援活動に重要であることや支援の体系化が早急に必要であるなど、研究を発展させるために貴重な知見を得ることができた。
|