上記の研究課題を達成するために、本年度は次の研究を進め、成果を得た。 1.小学校入学期の教科書に掲載されている説明文教材が、どのように指導に用いられているかを探るために、市販国語教育雑誌『教育科学国語教育』創刊号から2002年3月号までの43年間に見られる実践報告・教材研究を調査し、(1)入学期の説明文教材が研究対象になることはきわめて少ないこと (2)入学期の説明文教材は「本格的な説明文」とは認められておらず、音読教材、構文指導の教材・絵本から文章主体の読み物への「橋渡し教材」などとして用いられていること の二点が明らかになった。 2.読書環境と子どもの説明文スキーマの発達との関わりを明らかにするために、2000年版『キンダーブック』の年長児向け、年少児向けの展開構造を調査した結果、文章の導入部には、小学校の説明文教材と変わらないさまざまな方略が用いられており、説明という行為の中で、「説明の受け手を説明世界に参加させる」ことの重要性が確認された。この結果は、裏面に記した雑誌に発表されたほか、全国大学国語教育学会103回大会(2002年10月)で発表された。
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