本研究では、明治・大正期に発表された美術教育(図画・手工科)に関する文献資料を出来る限り渉猟・収集した。結果、雑誌掲載記事・論文データ6000余と単行本データ340程を得て、パソコンソフトファイルメーカー・プロによるデータベースを作成した。このデータベースを時系列に沿ってソート、印字したデータ集(目録)が研究成果報告書である。本冊子のデータは刊行年月日、著者名、タイトル、書名・巻号、発行所、ページを掲載するのみである。しかし例えば文献のタイトルは、当時としては目新しい用語、「売り」となる用語を含むことがままあり、多数データを併置することによって流行の移り変わり、思潮の変遷が如実に浮かび上がってくる。よって本冊子は、当初予測したように美術教育思潮の変遷を画然と示す資料、美術教育史上のエポックとされる事項を確認・実感できる資料となっている。また、こうした目録はこれまで無かったものであり、そうした意味からも今後の美術教育史研究進展に果たす役割が期待できる。 しかし研究の本当の価値は、ファイルメーカー・プロによるデータベースそのものにある。このデータベース、を検索モードにして、タイトルや著者名欄などにキーワードを入れてソートすると、即座にその用語を含むデータを拾い出す。昇順・降順の並べ替え、データの結合・切り離しも自由自在である。冊子にはこのデータベース典型的なソート例を示したに過ぎず、有用性を考えればデータベース自体を公表すべきであると思う。 データベースは、数の多さと精度が命である。残念ながら現在のところ、満足に至るレベルには達していない。以後も自分なりに育て続け、得心の至る所でこのデータベースを発表したいと考えている。
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