継続研究の第3年次(全4年中)である。 今年度の当初計画は、第1・2年次のスウェーデン王国への渡航によってコンタクトができた性教育関係者や性教育関係機関のうち、ストックホルム教育大学や、初等中等教育機関である基礎学校(grundskolan)を再度訪問し、スウェーデンの性教育の現状把握をさらに深めることであった。特にストックホルム教育大学に対しては、昨年7月に研究代表者(佐藤)が教育学部教授会において次期在外研究(長期)候補者に選出されて以降、同大学へのguest researcherとしての滞在を受け入れてもらうため、いくつかのルートでコンタクトを取る努力をし、一定の目途が立てば直接同大学を再訪問して折衝するつもりであったが、残念ながら同大学関係者から明確な反応が得られなかった。その上年度末になり、平成16年度以降在外研究の制度そのものが廃止されるという文部科学省の通知を受け、本研究を基礎作業として、留学により本格的調査研究を行なうという見通しは、残念ながち実現できなくなった。また、基礎学校訪問については、前年度訪問時お世話になった日本人通訳を通じて、性教育の授業を参観できるよう折衝していたが、結局うまくいかなかった。こうして、9月-11月頃の予定で、本研究3度目のスウェーデンでの現地調査実施を最後まで追求したのだが、結局実現できなかった。 そこで本年度の研究としては、末整理であった第1・2年次における渡航の成果を整理し、分析することに集中した。具体的には、訪問したストックホルム教育大学、教育行政機関である学校委員会、ストックホルム市内の青少年クリニックにおけるインタビュービデオテープを全て文字記録に起こした上、その中の主要部分を論文「スウェーデン王国の性教育専門家へのインタビューの記録と分析」としてまとめた。同論文は3月刊行の三重大学教育学部研究紀要(教育科学)に掲載予定である。
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