二カ年計画で研究を進めるため本年度は基礎的な作業及び調査を実施した。 (国語教育領域) ・小中学校全国語教科書の説明文教材の内容を分析し、その認識方法の特徴をとらえた。特に教育出版版については、内容と叙述との関係を考察した。その結果、すべての認識過程について記述せず、典型的な過程にしぼり、それ以外は類推させていることが明らかになった。小学校低学年の紹介型教材は対象外とした。 ・小中学校の説明文教材(教科書教材)を用いた実践記録・報告を収集し、これまでの実践における認識方法の扱いを分析した。結果として、これまでは言語による認識を間接認識として、その特徴を意識的に生かした実践は稀なことが判明した。総じて、国語学習による間接認識力育成を明確にした実践は見られなかった。 (理科教育領域) ・小中学校全理科教科書における生物に関する教材の内容を分析し、その認識方法の特徴をとらえた。特に中学校教材に関しては、実践者と共同で分析を行い、教材の実際の使用法や実践現場における教材のアレンジの方法なども考究した。たとえば、環境学習的に実際にビオトープを作成する活動自体を学習内容としており、直接認識の中でも体験的な過程を通した認識を重視し始めていることが明らかになった。 ・また屋久島へ実際に環境保護・環境学習の実態調査へ赴き、貴重な自然教材の活用方法及びその学習の実際について資料を収集した。自然保護に十分に留意しつつもできるだけ広く学習の機会を与え、広範な自然保護・自然学習の成果を期待して、直接認識を重視した学習をより進めている姿が認められた。 第二年度(最終年度) ・児童生徒への認識方法の相違に関する意識を調べる調査を行い、学習に関する基礎的資料を得る。 ・実験授業を行い、その成果を分析・集約して総合学習の系統案(生物分野)及び教材・学習材を作成する。
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