研究概要 |
平成13年度の研究状況は、以下の2方向から進められた。 1.子どもの日常的言語環境に取材した国語科メディア・リテラシー教材の開発・パイロット授業の実施および授業結果のデータ化 2.英国映画研究所教育部門編Moving Images in the Classroom(2000)ならびに、Making Movies Matter-Report of Film Education Working Group(1999)を訳出,参考としながら,動画リテラシー教授法の研究 まず,教材開発においては,子どもの読書環境の一隅を占める探偵ものの系譜として,マンガ「名探偵コナン」およびそのテレビ・アニメ版をとりあげ,キャラクター造型を中心に教材試案を作成し,(1)小学校(大阪府公立・6年生)(2)中学校(大阪府・兵庫県公立1年生)(3)高等学校(大阪府私立・1年生)にパイロット授業を行い,マンガ・テクスト独自のレトリックによって構築されるキャラクター受容のさまを被験者の言語化されたデータから考察・検討中。この第一次基礎研究成果は,子ども社会学会(平成14年6月)ならびに全国大学国語教育学会長野大会(平成14年10月)で口頭発表の予定。また,次年度には,試案を修正し,マンガとアニメーションと絡めた教材開発を行い,小中高において授業を実施,検討を予定している。 後者の動画リテラシー教授法については,先の2著を中心に,イギリスの国語教育と連動する動画活用の目的,指導方法,指導内容,教材,評価について全体像を整理し,教授法の体系化の特徴を考察,テレビ,映画といったメディア形態を統括する共通枠として動画を特化することで,国語科が扱うべきリテラシーとして組み入れやすくなると考えている。この第一次報告は,「大阪教育大学紀要」(2002.8)に掲載予定である。
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