本年度は研究の最終年度を迎え、昨年アメリカ・イギリス・カナダで収集した世界の市民的資質教育についての、理論と実践に関する資料を整理し読解を深めた。そして9月13日-14日に中国北京で開催された、中国教育国際交流協会と北京景山学校の主催による『世界教育フォーラム』において、日本の代表として、これまでの研究成果を含む我が国の教育改革の現状と課題について、「世界の教育改革の動向と我が国における教育改革の特色との関連性」というテーマで、英語で講演を行った。また9月9日には、イギリス・ヨーク大学教育学部のイアン・デービス上級講師が神戸大学を訪れ、今後の研究交流の進め方について私と意見交流を行った。さらに、我が国における総合的な学習をどのような方向に発展させていくかという観点から、教育改革国民会議が打ち出した「奉仕活動の義務化」や「道徳科・人間科・人生科」構想との関わりで大いに注目に値する、イギリスでの新しい市民性教育「シティズンシップ」の導入について、その目的・内容・方法・評価の在り方を貫く新しい人間形成の論理を明らかにする形で、体系的な分析と検討を行った。 また、国内の小学校・中学校・高等学校における総合的な学習と教科再編型新カリキュラムの開発研究の動向については、北海道教育大学付属釧路小学校・中学校及び京都教育大学付属小学校・中学校及び愛知県岡崎市立蓮尺小学校での聞き取り調査や、島根大学教育学部・広島大学教育学部での調査研究、鳴門教育大学で開かれた第52回全国社会科教育学会への参加などによって、引き続き資料収集とその整理・読解を進め、「ヒューマン・デベロップメントの視点に立つ人生設計型カリキュラムの構想」という観点から、体系的な分析と検討を行った。さらに9月6日には、私が大会準備委員長となって、神戸大学発達科学部において第11回日本グローバル教育学会を開催し、全国規模での研究成果の交流を行った。
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