「ヒューマン・デベロップメント(人間発達・自己形成)の視座」を踏まえて、21世紀の活動的な地球市民・たくましく心豊かな生活者としての「成熟した市民意識(21世紀のヒューマン・シティズンシツプ)」と個性的で創造的な「人生設計能力」を育てる「新しい問題解決学習のストラテジーの提唱」及び「人生設計型カリキュラムの構想」という観点から、現代のアメリカやイギリスにおけるカリキュラム編成論や単元構成論・授業展開論に学びながら、我が国で実施されている総合的な学習を、より一層質的に充実したものへと発展させていくための、新しい内容構成論と教授・学習理論の在り方について考察を行った。 最近イギリスで新たに導入された市民性教育「シティズンシップ」や、アメリカにおける市民的資質教育の理論と方法についての分析を踏まえて考察した結果、次のような4つのアプローチから「人生設計型カリキュラム」の実現に取り組んでいくことが効果的であるという結論に達した。 1つは、学校生活全体の場において、または総合的な学習の時間において、子ども自らが目標を設定し、それを多彩な手段・方法を活用して、自分の人生や生活そして自分の成長を自分でデザインし意図的・目的的・計画的によりよく生きていくことのできる力を培っていくための学習「ウイッシュ・プロジエクト(自分設計計画)」を新たに導入する方法であり、現在実践が進行中である。 2つ目のアプローチは、総合的な学習を子どもたちの学び生きることへの豊かな目的意識と「合理的目的達成能力」を形成していくことのできる「人生設計型カリキュラム」として再構成していく方法である。3つ目のアプローチは、教科再編型の新しい学校カリキュラム全体の在り方を、「ヒューマン・デベロップメント」の理論を基本的視座として、新たに構想していくという方法である。 4つ目のアプローチは、教育課程全体のなかに、子どもたちの「主体的な社会参加能力」を高めるための新しい社会体験活動・ボランティア活動を導入するという方法であり、これについても現在実践が進行中である。2番目と3番目のアプローチについては、現在、資料の収集と整理及びまとめが進行中であり、場所を改めて体系的に論究することにしたい。
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