本研究は、現代民主主義社会の市民を育成する歴史授業を開発することをねらいとしている。そのねらいを達成するために、本年度は、次の5点を研究した。 第1は、外国における歴史授業の収集である。そのために、主として、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ドイツの国々における歴史教科書を収集し、代表的な歴史単元を分析した。そして、その単元が示す単元の構造、授業構造を解明した。アメリカの歴史単元に関しては、歴史授業モデル化をはかり、使用可能なものに整理した。 第2は、我が国の新しい歴史授業の収集分析である。そのため、主に、中学校・高等学校における歴史(日本史・世界史)授業を収集した。大阪:奥山研司先生、佐賀:藤瀬泰司先生、広島:宮本英征先生の授業を検討した。 第3は、新しい歴史-地理-公民授業の構想研究である。そのために、制度や理念が個々人の信念と結びついているので、そのような信念を疑い、揺さぶられば、民主主義社会とはいかなるものかを考えることができるという昨年度の仮説を、地理授業や公民授業に適用できることを示すことを試み、地理単元として「地図を疑う」、公民単元としては「選挙制度から民主主義社会のあり方を考える」を開発した。 第4は、学習評価の研究である。子どもたちが信念を疑い、揺さぶられる学習を行うと、どのような態度変容が生ずるのかを、開発した公民単元に即して、学習成長の度合いを測定する方略と方法を開発し、検討した。 第5は、研究成果のまとめである。平成13年度より平成15年度までの研究成果を、研究報告書としてまとめ、整理し、研究達成内容と今後の研究課題を明らかにした。
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