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本研究の目的は、小山が構築した「数学理解の2軸過程モデル」に基づく算数・数学科の授業構成の原理と方法を明らかにし、児童・生徒の算数・数学の理解を深化させるためのカリキュラム、教材、指導方法に対する示唆を得ることである。そのために、本年度は数学理解の2軸過程モデルに基づく算数・数学科の授業構成の原理と方法を構築することに焦点を当てて、(1)文献解釈的・理論的研究による2軸過程モデルの認識論的補完、(2)算数・数学科のカリキュラム分析と教材研究による2軸過程モデルの具体化、(3)2軸過程モデルに基づく算数・数学科の授業構成の原理と方法の構築を行った。
その結果、以下のような研究成果が得られた。
第一に、文献解釈的・理論的研究として、数学教育における研究パラダイムを検討することによって、主として構成主義的認識論に立つ2軸過程モデルを他の社会文化主義的認識論や相互作用主義的認識論によって補完できることが明らかになった。
第二に、日本の算数・数学科のカリキュラムとアメリカやイギリスのそれとを比較検討することによって、数学理解には階層的水準があることが改めて明らかになった。
第三に、日本の小・中・高等学校の算数・数学科のカリキュラムを分析したり、教材研究を行ったりして、数学理解の2軸過程モデルの縦軸をなす5つの階層的水準を具体化した。そして、2軸過程モデルに基づく算数・数学科の授業構成の原理と方法を理論的に構築し、それに基づいて小学校の図形領域における実験授業を計画・実施し、数学理解の2軸過程モデルに基づく算数・数学科の授業構成の可能性を明らかにした。
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