本研究は、文章生成過程の観点から作文能力の育成を理論的・実証的に図っていこうとするものである。本年度は、以下の2点を中心に研究を進めた。 1、米国における文章生成過程研究及びそれに基づく作文指導のまとめ 米国における文章生成過程研究及びそれに基づく作文指導研究の文献から、それらは「プロダクトからプロセスへ」の流れにあること、現在の過程重視の作文指導は多岐にわたっていること、さらに、そこにおけるそれぞれのアプローチは対立するものでなく、補完し合うものとして位置づけていく必要性のあることを確認した。 2、児童の作文評価の発達と作文指導法の開発 作文能力を高めていくためには、多くの読み手を経験させていくことが重要である。そのためには児童の作文評価の発達を捉えておく必要がある。そこで、小学校3年生から5年生を対象として、それを捉える調査を行った。その結果、4年生を境としてその変容が見られることが明らかになった。 また、文章の伝達性を高めていくためには、その書き方を身につけていかなればならない。そこで、小学校で取り扱われる「精叙・略叙」に焦点をあて、その理解を深める授業を行った。その結果その有効性が認められた。
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