研究概要 |
本研究においては、学校週5日制時代の到来を前に学校教育における学習内容の質的な転換がはかられている今日、金銭に関わる学習内容をキャッシュレス社会・クレジット社会をキーワードに再構築し、金銭学習プログラムの作成をめざして研究をすすめてきた。また,プログラム実施のために、自由度が高く、応用性がある授業モジュールの形式を用いて提示し、実践に向けての具体的な手立てを提案することも目的としてきた。 平成13年度・平成14年度には,小学生を対象としたアンケート調査を実施するとともに,金銭教育実践例および,プログラム・モジュール作成のための基礎的資料を収集した.さらに,実践例の収集・分析および基礎資料の収集は本年度も継続して実施した. 平成15年度は,金銭教育研究指定校が発行している「金銭教育研究校の研究実践例集」,消費者教育支援センターが発行している実践例集や実践マニュアルに掲載されている金銭教育実践例の分析・考察とまとめを行った.金銭教育研究指定校においては,全教育課程での実施が原則になっているが,特別活動や道徳での実践の比重が多くを占めていた.また,各教科では家庭科における実践が数本見られたので,実践内容について分析・考察を行った. 実践例の分析を通して得られた知見から,金銭教育は系統的に実践されていることはなく,系統性をもった学習プログラムの作成は早急の課題であると痛感した. 最後に,2年間の研究成果を踏まえて,金銭学習プログラム・モジュールの作成に取りかかった.筆者は,モジュール作成の経験は乏しく,そのために作成のための基礎的資料の収集は精力的に行ったが作成は困難であった.発達段階に応じた系統的なモジュールは提案できず,断片的なモジュールの提案に終止した.今後の研究課題としたい. 平成13年度から3年間の研究の成果を報告書としてまとめ,発行予定である.
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