本研究は、終戦後の我が国の国語教育の実態を、制度やカリキュラム、および教育実践の上で明らかにしようとしたものである。 「新教育」と言われた戦後の教育は、結局のところ、経験主義に立つ総合的な教育(総合主義教育)であった。われわれは、本研究の基礎として、我が国の戦後の教育改革に、アメリカの経験主義がどのように影響したかを調べた。また、新しい教育課程の作成に、アメリカの指導がどのように働いたかを調べた。そして、新しい経験主義の考え方が、国語教育のあり方をどのように動かしていったかについて考察した。 次に、当時の教育現場の実態を明らかにするために、いくつかの新教育の実践校のカリキュラムと学習指導の実際とを重点的に調査した。特に、福沢小学校、桜田小学校、北条小学校については、現地を訪ねて資料を発掘し、「福沢プラン」「桜田プラン」「北条プラン」の名で知られているその研究成果について、精密に調査し、考察した。これらの調査によって、当時、我が国の先進的な実践の中に、経験主義的な総合学習の考え方がどのように取り入れられていったかが、かなり明らかになった。 更に、今後、経験主義的な学習と教科の学習とをどう関係づけていくかについて研究を続けたい。また、この過去の歴史的事実の研究を、これからの時代の教育にどう生かしていくかについても考察し、そこから新しい提案をしていきたい。
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