近年日本に住む外国籍をもつ、あるいは母語を日本語としない人々の数は急速に増加し、その子どもたちの多くは保育園・幼稚園に通っている。外国籍を持つ保護者あるいは多文化を背景にもつ保護者に焦点を当て、子どもを取り巻く問題点を探り、今後の保育園・幼稚園の望ましい在り方について探究し、解決法を見出すことが本研究の目的である。今年度は次のようなことを行った。 1 既に一部実施しているアンケート調査を拡大し、東京都・大阪府周辺に住む保護者を対象に11カ国語に翻訳したアンケート用紙を配布・回収した。有効回答者数2003人(65カ国)であった。 2 詳細な集計・分析を行った。母語での回答が可能であったため、自由記載欄にも多くの事柄が記されていた。膨大なデータの中から主なものを記す。 (1)幼稚園・保育園への入園情報、あるいは子育て全般について滞在年数の長短にかかわらず多くの保護者が母語による情報を切望していた。 (2)子どもの園生活における心配事は第1にいじめを挙げる親が多く、これは日本人の持つ他文化への偏見・差別に基づいていると指摘し、全ての日本人に対する多文化理解教育の必要性を訴えていた。 (3)子育て情報源として配偶者の他に園の先生を挙げる親が多く、信頼されている様子が伺われた。 3 集計をもとに報告書を作成し学会報告を行った((1)、(2))。今後行う予定は(3)、(4)である。 (1)多文化子育て調査報告書発行:2001年9月 (2)小児保健学会発表:2001年11月(東京) (3)在日外国人の母子保健「調査研究事業報告書」豊中交流協会編 寄稿:2002年3月 (4)日本保育学会発表:2002年5月(東京)
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