研究概要 |
平成14年度は,小学校6年生(前年度対象児童と同一)を対象として開発した食生活教育プログラムのうち,「朝食をたべよう」「食品表示を読む」「広告分析」の3授業案を用いて教育介入を実施した。 介入校については,授業実施直後に質問紙(前年度と同一のもの)による調査と研究者による授業観察に加え,児童には授業後のふりかえりカード,授業者にはアンケート紙による授業評価を行なった。比較対照校には,介入校における授業実施直後の同一の時期に質問紙調査のみ行なった。今回の介入前データは,前年度の介入後データをもってかえた。さらに,ベースラインデータ収集時期(4年次10月)とほぼ同一の時季となる6年次12月に教育成果の継続性と4年次からの発達による食行動,セルフエスティームの変化をみるために,介入校,対照校ともに最終の質問紙調査を実施した。 対照校との比較による介入校の教育効果は,知識面では差がなかったが,朝食摂取の重要性に関する態度,健康的なおやつの見分けやおやつの広告分析の自己効力が高まった。朝食摂取行動は男子において,朝食授業の直後には改善したが半年後まで継続しなかった。その背景には,就寝時刻遅延や朝食作りや共食の減少といった家族の朝食行動が観察された。このことより,児童の食生活教育には,保護者も取り込んだプログラムが必要であることが示唆された。 日本では,セルフエスティームは学年がすすむにつれて低下する傾向がみられているが,本研究対象では大きな変化はなく,男子はやや高くなり,女子はやや低くなる傾向を示した。食生活教育プログラムとの関連をさらに解析していく予定である。
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