研究概要 |
1.内発的動機づけを重視した授業づくりの手だて 知的障害のある児童生徒の学習活動への意欲を高める手だてについて検討し,10の内発的動機づけを高める手だてと動機づけの機能,発現形式との関係を整理した。典型的な内発的動機づけには,好奇動機と認知動機とが関係が深く,授業において「新奇性のある題材,教材教具を用意すること」「既有の知識と矛盾する出来事に出会う」工夫が有効であることを整理した。 2.内発的動機づけを重視した授業の実際 研究協力者の実践かち内発的動機づけを高める手だてを分析し,「既有の知識と矛盾する出来事に出会う」工夫として,生活単元学習で「先行経験や既有の知識を生かせる活動の用意」(「探す活動」,「準備をする活動」,「計画を考える活動」等)が実践されており,生活単元学習が知的障害のある児童生徒の内発的動機づけを高める学習方法であることを改めて見出した。また,授業実践8事例を報告書にまとめた。 3.授業研究とその改善 これまでの知的障害のある児童生徒の授業研究では,(1)授業を児童生徒同士,児童生徒と教師のコミュニケーション過程としてとらえた量的ないしは質的分析をするシステム開発とその適用による分析的研究,(2)学習心理学の知見を生かした授業構成の検討,教師の授業観の検討に結びつく指導案の事前検討,授業参観や授業批評を検討し,授業改善に重点をおいた教授学的研究,があった。知的障害の児童生徒の授業研究では,指導案の事前検討の在り方,授業批評の在り方等,実際の授業研究のシステムを改良することが現実的な授業研究の方途を示すと考えられ,インシデント・プロセス法を応用した授業研究や授業のビデオを視聴による授業改善の効果を検討した。 4.成果の普及 研究成果報告書を作成し,各自治体の特殊教育センター等へ配布した。日本特殊教育学会第42回大会で成果を報告する予定である。
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