研究概要 |
今年度は,これまで7年間続けてきた参与観察・活動を継続するとともに,各地(大阪府下の数か所,兵庫県神戸市,京都府京都市,長野県小諸市,神奈川県川崎市,福岡県福岡市,沖縄県宜野湾市,那覇市)を訪問し関係者と情報・意見交換を行い,一部では活動を観察した。また,本研究に関連した複数のイベントに主催者側の一人として参画し,運営を行う一方,同様のイベント(十数件)にゲストとして参加した。 そのうち参与観察では,母語学習の取り組みに重点を置き,子どもたちが自らの特性・長所をさらに伸ばし,自己実現のレベルを上げる取り組みを進め,大きな成果を修めた。また,子どもたちのロールモデルとなる青年を「研修生」として採用したことも,子どもたちのモチベーションを高める上で効果的であったと思われる。自己発現ができる教育環境を開発することの意義がほぼ確認できたと思われる。 各地域でも,取り組みは進んでいると感じるが,ニューカマーの子どもに対する日本語指導の取り組みが主で,一般児童・生徒等への多文化教育などは,これからというところがほとんどのようであった。その中で,やはり大阪地域の学校やそのネットワークでの取り組みが注目された。教員間のネットワークがあり定期的に研究会・勉強会を実施していたり情報交換を行っているものも少なくない。「同和教育」,「在日外国人教育」,「人権教育」等への取り組みの経験とその組織によるところが大と思われる。 来年度は,本科学研究費補助金を得ての調査・研究の最終年度だが,大阪を中心とした関西圏における教育環境についてさらに調査を進め,併せて各地の取り組みの進捗状況を観察し,報告書としてまとめたい。
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