研究概要 |
平成13年度は、本研究の初年度であるため、言語資料および先行の研究文献の収集・整理が中心となった。 交付申請書の「研究実施計画」に記した(1)〜(6)すなわち学習者による誤用例文の収集は、大島・村木・姚・が日中両言語に関するものを、また泉が日朝両言語に関するものを、それぞれ海外共同研究者の協力も得ながら、すすめている。(1)および(2)が主となっているが、(3)〜(6)のものも収集に努めたい。 誤用例文については、まだ分類・整理という段階には至っていないが、「研究の目的」にも記したように、本研究の成果を「日本語教育のための教材として利用できる」ように、研究代表者である大島が、先行の語法辞書(市川保子氏の『日本語誤用例文小辞典』や小西友七氏の『英語基本形容詞・副詞辞典』など)を博捜し、それらを参考にしつつ、漢語を主軸とした『日本語誤用例辞典(漢語語彙編)』(仮題)の構想をねっている。 (7)の既刊の辞書類の記述そのものについての、または記述による研究の成果は以下のとおりである。 大島は現行の国語辞典における語釈の用語・方法について調査を行い、漢語の語釈に見える音象徴語の使用の実態を報告した。村木は四字熟語の文法性について、辞書類の用例文を資料とした調査を行った。姚・泉は、それぞれ日中、日朝各言語間の漢語語彙の交流に関する研究を始めている。姚は沈国威氏の研修をはじめとする先行研究の流れを整理し把握することに努めている。泉は『明治のことば辞典』(飛田良文《1986》東京堂出版)と『韓英字典』(Jojnes, S, GALE, 《1897》)とを用いて、明治期に創られたと考えられる日本漢語の韓国への伝播・流出について調査を行った。
|