研究代表者の浅田は、平成14年度(本調査)縦断的におこなった各種調査から、文字化した発話資料をまとめ、下記の成果報告書を作成した。本来の研究データは、会話資料、日誌、アンケート、言語テスト、フォローアップ・インタビューなどから成り、今後も日本語学習者の居住地方言に対する意識と産出能力のみならず、言語および異文化接触の観点から、複合アプローチを用いて多角的に分析していく予定である。 浅田浩文(2004)「日本語学習者の方言意識と産出能力-CHILDES談話資料-」平成13-15年度科学研究費補助金基盤研究C-2(課題番号13680366)研究成果報告書 本報告書は、録音録画された会話を母語の発達過程を研究するために開発された言語データ共有システムCHILDES(Child Language Data Exchange System)を使って表記したものであり、本国でのフォーマルな日本語学習から、新たに日本というインフォーマルな日本語環境に接触した際の外国人留学生の言語変化を詳細に捉えたものである。 研究分担者の二階堂は、留学生への方言に関するアンケートと道教えタスクを通して、日本語能力、方言への理解、実際の運用を調査した。その結果として、方言に関する事前学習も乏しく、理解も進んでいないことがわかった。また、道教えタスクでは、親疎による言葉の使い分けがほとんどできていなかった。一方、日本人調査の疎の場面で見られる気づかない方言の使用は出てこず、日本語教育でのいわゆる共通語教育の成果が現れていた。今後、地方での滞日経験が増すことで留学生の使用する日本語がどう変化していくのか見守っていく予定である。
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