研究概要 |
平成14年度は,本研究に関して6件の発表を行った.また,欧米論文誌(査読つき)に論文1篇が採択された. 絵画における色の変化をウエーブレット変換によってとらえる手法を開発し,CGIV(CG,画像,および視覚における色に関するヨーロッパ会議)で発表した.この成果はPattern Recognition Letters誌に採択された. 国立歴史民俗博物館所蔵の錦絵資料およびきもの資料について,ディジタルカメラによる色彩画像の撮影および測色値の推定を行ない,錦絵資料は数量分析に耐える精度で色推定を行うことができた.この成果を国際色彩学会大会(AIC 2002 SI)で発表した.またきもの資料については,測色値情報をもちいた色彩分析を試み,精密ではないが特徴的な情報がいくつか見出された.この成果をカラーフォーラム JAPAN2002で発表した. 日本の伝統色彩に関して,紙や布を顔料や染料で着色して作成された復元色票を貼付した資料が刊行されている.これらを相互に比較可能なデータとするため,測色器による復元色票の測色データを「日本伝統色復元色票データベース」としてまとめた.これは2003年度発刊の国立歴史民俗博物館研究報告に掲載の予定である.ここから,中世貴族の女房装束などに用いられた「かさね色目」と呼ばれる一種の配色システムについて,いくつかの文献に収録されたかさね色目を分析し,配色に関するいくつかの特徴的なパターンを抽出することができた.この成果を国際色彩学会大会で発表した. 海外研究協力者のMichel Albert-Vanel氏を11月に招聘し,10日間にわたって集中的に共同研究を実施した 美術・色彩の研究者・教育者・学習者のための色彩分析システムとして,Colorcelを開発した.Colorcelを使って,数値で表わされた色情報の可視化や,異なる表色系間の色値変換を簡単に行うことができる.この成果は日本色彩学会全国大会で発表した.Colorcelは現在公開に向けて準備中である.
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