| 研究概要 |
本年度も昨年度に引き続き,藤田保健衛生大学,東邦大学,河合医院,メナード化粧品,資生堂,花王,ポーラ,味の素株式会社等の皮膚科学研究者,及び東京理科大学大学院博士課程学生園田巌と共同研究を遂行した.その主要なものは次の通りである.(1)パッチテストの判定に標準サンプルを用意して,短時間の判定教育を行ったとき,判定が安定するかどうかの実験を行い,再現性と精度を吟味した.教育の影響自体はまだ評価できないが,写真試料を使う場合には,皮膚の弾力といった属性が利用できないことなどが問題として残った.(2)皮膚刺激性評価の代替法として提案されている3次元ヒト皮膚モデルにおけるスコア(ET50)の推定法として,どのようなものがよいかを検討した.最終的な結論はまだ得られていないが,時点数が3点の場合は,推定が不可能になる場合がかなり生じるので,最少でも4時点あることが望ましいということが分かった.(3)刺激性をヒトの左右の頬で評価するときに,どのような要因がスコアに影響するかの要因分析を行った.最も大きな攪乱要因が順序効果であることが明らかとなった.研究結果は,米国のニューオーリンズでの世界動物実験代替法世界会議,東京で開催された日本接触皮膚炎学会,東京で開催された日本動物実験代替法学会で発表された研究発表にはこれらの研究成果が含まれている.これらの研究の内,ET50推定法については,Alternatives to Animal Testing and Experimentation誌に掲載されており,他の結果も逐次,他誌に投稿する予定である.
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