環境評価基準の中で、水環境に関わる基準を本研究の焦点とした。水環境評価基準の目標値は、大きく分けると慢性毒性値と急性毒性値に関するものである。水環境における急性毒性値の基準としては、実験室において化学物質・重金属等がさまざまな水生生物にどのような(実験生物が半数死ぬ数の濃度等)の影響をおよぼすかを計測し、水生生物全体における急性毒性のパターンが推定される。そしてこれらの結果に基づいて人間への環境基準値が決定される。このような人間への環境基準のプロセスにおいて環境基準値の決定は重要な問題であり、そこでは科学的裏付けを伴った評価可能性が重要である。 本研究では、急性毒性の評価基準に関わる統計的手法の開発に関する基礎的研究を行った。本研究に付随して三角分布の順序統計量の期待値が解析的に導出できた。この分布は、EPAの報告書において、これが急性毒性値の分布として適切であると述べられている。同時に、EPAによって提案されたFinal Acute Vale(FAV)の推定値の解析的評価をn個の標本数から選ばれた5パーセント点にユークリッド距離の意味で一番近い2点の標本を用いて行い、シミュレーションとともに、新たに求めた解析的結果の確認を行った。
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