研究概要 |
空間に散布された多数の点が与えられたとき、その点配置の統計的な性質を明らかにすることは「空間統計学」の重要課題の一つである。いくつかの取り組み方の中で、所与の点配置に対してボロノイ(Voronoi)分割.を施し、それの統計的性質を研究するというアプローチは一つの有力な方法である。本研究では、完全にランダムな点配置(ポアソン点過程)に対するポロノイ分割(及び一つのボロノイ・セル)の統計的分布を2次元だけでなく、高次元空間に対して可能な限り正確に求めることを目指している。理論的には、ボロノイ・セルの幾何学的特徴の一部の積率が知られているのみで、われわれの目的のためには計算機を用いて大量の独立標本を生成して、その統計分布を求めることが必要になる。 本年度は2,3次元空間のポアソン点過程に対するボロノイ・セルの種々の幾何学量の統計分布を確定することを行った。これらの次元では、代表者が開発した既存のボロノイ分割プログラムを、大量のデータ生成に対応できるように改良した上で、互いに独立なボロノイ・セルの標本をポアソン点過程に対して計算機を用いて大量に生成し、データを蓄積していった。これと同時に、本年度は4次元と5次元のボロノイ分割の計算アルゴリズムを開発して、それぞれの次元でポアソン点過程に対する互いに独立なボロノイ・セルの標本をそれぞれ5,000,000個ずつ生成した。そして、種々の幾何学特徴量の統計分布を、3パラメータの一般化ガンマ分布を用いて、最尤推定法でパラメータを推定することによって求めることができた。われわれの結果は世界的にも初めて得られた成果である。 研究成果の一部は、2001年7月8-14日にオーストラリア・シドニーで開催されたFifth Interdisciplinary Symmetry Congress and Exhibition of the ISIS-Symmetryにおいて"Random Voronoi cells of higher dimensions"の標題で、2001年12月10-14日にオーストラリア・パースで開催された11th Intemational Workshop on Stereology, Stochastic Geometry and related fieldsにおいて"Poisson voronoi cells in higher dimensions"の表題で発表された。
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