研究概要 |
知識情報処理における確率的推論機構の基礎となる複数のノードからなるグラフィカルモデルに対して厳密に解析することの可能な場合に限定し,周辺ゆう度最大化と呼ばれる統計的手法にもとづいてモデルパラメータの推定アルゴリズムへの実装とその典型性能評価を行った.その成果は2002年1月に出版されるPhysical Review E,vol.65,no.1およびIEICE Transactions on Information and Systems,Vol.ED-65,no.3に出版される.更に,この複数のノードからなるグラフィカルモデルに量子確率場を導入した場合の有効性を確率的画像処理に限定して,統計力学的近似解析手法である平均場理論を用いて解析し,性能の改善につながることを示した.その初歩的成果は電子情報通信学会論文誌,vol.J64-D-11,no.4に出版されている.更に現在,複数のノードからなるグラフィカルモデルを用いた確率的推論に対して統計力学的近似解析手法であるクラスター変分法を用いて確率伝搬型アルゴリズムの構成を行っている.その成果は論文としてまとめ人工知能関連の学術雑誌に投稿を準備中である.上述のグラフィカルモデルに対して得られた知見と統計力学的アルゴリズムをもとに,本研究の主たる目的である量子力学的効果の確率的推論機構一般への応用の定式化をグラフィカルモデルに対して行うとともに,パターン認識,特徴抽出に用いられる確率モデルである混合ガウスモデルについても定式化をすすめている.その成果は2002年秋のInternational Conference on Neural Processing Systemsおよび第5回情報論的学習理論ワークショップへの投稿を準備中である.
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