研究概要 |
大規模な計算機ネットワークの発展に伴い、ネットワーク上の計算と通信の安全性、故障耐性、効率に関する基本的な研究が益々重要になってきた。本研究では、分散システムにおける多重パーティ計算とこれに関連する基本的な非同期分散アルゴリズムに取り組んできた。 多重パーティ計算は、ネットワークで結合された多数の計算機で構成された分散システムにおいて、そのシステム上の複数の参加者が各自のデータを引数の値として与え、ある関数値を計算し、その関数値を各参加者または特定のグループに知らせることである。この場合、一般に各参加者が与える関数の引数の値も、参加者が秘匿を望むデータも他の参加者およびそれ以外の敵対者に知られないようにすることが要求される。各種ネットワークにおける多重パーティ計算のプロトコルを設計し、その安全性、故障耐性、効率を解析すること,および具体的な応用例を考え、それに多重計算のプロトコルを適用した場合の問題点とその対策を検討することが当初の目的であった。 本報告書は、上記の目的で文部科学省科学研究費補助金(基盤研究(C)(2))を受け、3年間の研究成果をまとめたものである。情報の秘匿性、ネットワーク上の通信の故障耐性と効率、基本的な分散アルゴリズムの設計と解析など、多重パーティ計算に関連した基本問題についてはかなりの研究成果をあげることはできたが、多重パーティ計算の本質的な問題では十分な研究成果をあげることができなかった。関係諸氏に本報告書をご高覧頂き、ご批判とご教示を賜われば幸いである。それらのご批判およびご教示は今後の研究の推進に役立てたい。本研究に対する関係各位のご援助に感謝の意を表す。
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