研究概要 |
「開かれたプログラム理解支援環境」について,平成13年度は以下の項目を行った。 1.プログラム理解のためのグループウェアPierreの実装と改良 プログラムの講読会(読み会)の進行を支援するシステムについて,実装とユーザインタフェースを中心とする機能拡張を行なった. 2.読み会支援グループウェアの評価実験 合宿形式でプログラム読み会を実施し,対象としてgnutellaプログラムを読んだ. その際に,作成したグループウェアPierreを実際に利用し,利用状況と利用者アンケートによる評価データを収集した. 3.プログラム理解の成果を残すための研究 読み会によって獲得した理解を記録として残すことで復習やさらには新規の理解の補助手段として利用可能である.そのための方法について検討,比較実験を行ない,その結果として文字によるオンラインコミュニケーション(チャット)を利用することで読み会での理解過程を対話として記録することの有効性を確認した. 4.プログラムアニメーションによる理解支援 オブジェクト指向言語を対象として,実用規模のプログラムの動的な振舞をアニメーションする際に不可欠である「情報の簡略化」について,空間的には特定パッケージへの注目機能と,時間的には繰返しの発見と省略提示とを用いて,アニメーションの自動簡略化に成功した. 5.プログラム中の説明出力の統合 プログラムには,コメント,エラーメッセージ,デバッグ出力など本来の実行には無関係な種々のメッセージが存存する.これらを統合して同一の記述からそれぞれを自動生成することにより,それらの記述を簡略化することができる.これによって,プログラマが積極的に意を用いなくとも豊富なメッセージを発生できることになり,プログラム理解にも有効である。
|