研究概要 |
ローテータグラフは,低い次数,小さな直径と平均距離という望ましい性質を備えた有向グラフであり,並列計算機の相互結合網の位相として,今後有望視されている.しかしながら,このグラフは,近年発表されたために,複雑な通信パタンに対しては,効率的なアルゴリズムが未発見であり,その普及を妨げてきた.本研究では,1対多および多対1の互いに素な経路問題を,その次数の多項式時間で解く算法を提案した.さらに,これを実装し,当補助金によって購入した計算機を用いてシミュレーション実験を行ない,その性能を検証した.また,同じケイリーグラフに属し,無向グラフであるパンケーキグラフに対しても本手法を修正して用いることで,未解決であった1対多の互いに素な経路問題を次数の多項式時間で解くことができることを示し,計算機シミュレーションによって検証した.さらに,本研究における提案手法では,1対1の互いに素な経路問題を多項式時間で解く必要があるため,パンケーキグラフにおいては,未解決であるこの問題に対しても多項式時間の解を与え,シミュレーションにより性能を評価した.
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