研究概要 |
本研究では,各種確率的手法に対し,一般の制約解探索問題への有効性を試みることを主な目的としている.その研究手段として,まずは,疎行列パリティ検査符号に対する確率的復号法(とくにBelief Propagation法)に注目し,その解析を行った. 渡辺のグループでは,ランダマイズド局所探索法とBelief Propagation法の関連を調べるため,疎行列パリティ検査符号に対する復号法のうち,ランダマイズド局所探索法の理論的解析を行った(現在論文を準備中).また,ランダマイズド局所探索法を代表的な制約解探索問題3SATに応用する場合の初期値の選び方についての理論的研究を行い,これまで知られている性能を改善する結果を得た(研究発表の最初の文献). また,実験的な研究では,パソコンによる小規模クラスターシステムを構築し,その上での実験環境を整え,疎行列パリティ検査符号に対するランダマイズド局所探索復号法の小規模なシュミレーション実験を行った. 一方,樺島のグループでは,Belief propagationがアルゴリズムとして優れていることの起源を解明するために,その導出に関する統計力学的意味付けの研究を行った(研究発表の2番目,3番目の文献).また,疎行列パリティ検査符号へ適用した際の性能評価も行った(研究発表の4〜6番目の文献).また,疎行列パリティ検査符号が有するアルゴリズムに依存しない性質を解明するための統計力学的評価法の開発,およびそれを用いた評価も行った.
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