昨年度報告中で、まだ実現の目処が立っていなかった、2)ファイル入出力を実現するために、ディスク上のデータをUtilispの文字列にマッピングする;に関しても実装を行った。ただし、当初の計画とは異なり、Unixの1ファイル上にファイルシステムを構築した。なお、このファイルへの読み書きは1024byte単位のもののみとし、実際のハードディスク上への移植性を考慮している。 また、このファイルシステム上にLisp処理系の各種ライブラリルーチン群を用意するための、Cプログラムを新たに作成した。これにより、既存のライブラリルーチンを新ファイルシステム上のファイルとして格納できるようになった。 今年度の成果として、裸のIBM-PC上で実際にLisp処理系を稼働させることが可能となった。現在はネットブート可能なThinkPad 240Z上で、i)画面への文字出力ルーチン;ii)キーボードからの文字入力ルーチン;iii)ハードディスクの読み書きルーチン;を作成し、Lispシステムとの結合実験をしているところである。現状は、OSを仮定しないLisp処理系がよたよたと動き始めたところで、まさに虫取りと改良を行っているところである。 当初の目的であった裸のハードウェアを利用した高速化は半年ぐらい先の成果となる。本研究は、採択が半年遅れで通知されたため、当初の研究計画よりも遅れた形となっているが、それを考慮すると、ほぼ計画通り遂行できたと考えている。
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