1.集合被覆問題に対する貪欲解法の改良 集合被覆問題とは、台集合Uの(重み付き)部分集合の族が与えられ、Uの全ての要素がFのある部分集合に被覆されているような、最小重みの部分集合族Fを計算する問題であり、特に部分集合の大きさが高々kに制限されているものを、k-集合被覆問題と呼ぶ。同問題に対しては、貪欲法により近似精度がH(k)=1+1/2+ …+1/kの解が効率よく求まることが長く知られてきたが、重みがない場合を除き、より良い近似解法は知られていない.本研究では、まず手始めとして、異なる部分集合重み同士に2倍以上の開きがある、という制限のついたk-集合被覆問題を対象とし、その近似解法を設計する。貪欲解法を適切に改良し、その性能を線形計画の双対定理を用いて解析することで、近似精度が3-集合被覆問題の場合はH(3)-1/6に、k-集合被覆問題の場合はH(k)-1/12に改善されることを示した。 2.ポリマトロイドの充填問題と被覆問題の近似解法 マトロイドの一般化であるポリマトロイドにおける充填問題と被覆問題に対する効率のよい近似解法を設計する。ポリマトロイドの任意要素の階数が高々kである場合、最も良い従来手法で得られる近似精度は、それぞれ1/kならびにH(k)であり、どちらも貪欲解法から得られるものであった。本研究では、それぞれの問題に対する貪欲解法を発展させ、近似精度が2/(k+1)ならびにH(k)-1/6に向上させられることを示した。
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