平成14年度では、3次元ベクタ場も対象とできるよう可視化手法の拡張を行った。渦中心を含む3次元ベクタ場に対して、渦中心を内包する格子、すなわち、渦格子の界面から渦中心に至るまでの経過時間をゼロと仮定して生成したLIC画像について、経過時間を重要度とする3次元LIC手法の有効性について検証を行った。 3次元LICの結果は、3次元画像すなわちボクセルデータとなるので、可視化実験の実施においては、ボリュームレンダリングを高速に行うための手法の開発が必要となる。3次元LICが出力するボクセルデータから高速にボリュームレンダリングを行なうためのアルゴリズムを開発した。本手法では、視軸に垂直なスライス面を複数枚取り出し、これらを視軸の奥から順番に重ね書きすることによりボリュームレンダリングを実現している。本手法の特徴としては、グラフィックスハードウェアのソリッドテクスチャやアルファブレンディング機能を有効利用できることがあげられる。 3次元の場合には、渦格子の内部におけるベクタ場の表現について、継続的な検討を予定している。渦格子内では、特異点理論による計算結果から決定される渦回転軸がZ軸となるように座標変換を行い、渦格子内部におけるベクタ場がZ軸まわりに旋回するものと考えて渦格子の格子点から渦回転軸に至るまでの経過時間を評価することができる。我々の提案する3次元LICでは、LICソリッドテクスチャと各格子点で経過時間が保存されるソリッドテクスチャが生成される。この経過時間を不透明度に写像する伝達関数を定義しておき、2つのソリッドテクスチャから渦中心付近だけが強調されるようなボリュームレンダリング画像を生成し、渦格子の内部におけるベクタ場を考慮しない場合に対する有効性を示す予定である。
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