研究概要 |
1.ほぼ整列済みの数列の事前整列性測度の研究 現実に整列が必要となる数列は,すでに整列されている数列から少数の要素の値が変更されて得られる数列であることが多い。本年度は,このようなほぼ整列済みの数列を整列するには,結局どの整列法が適しているのか,ということを,作年度までの結果を利用して研究し,以下のような結論を得た。入力の長さをn,要素の値を変更する回数をkとする。考察の対象とする整列法は,(1)bubble sort法,挿入ソート法など,実行時間が入力に含まれる逆転の数に比例する整列法,(2)heapsort法,quicksort法など,実行時間が事前整列性測度に関係せず,nlogrに比例する整列法,(3)最長の連を利用したマージソート法など,連の個数をrとするときに,実行時間がnlognに比例する整列法,の3種類である。 まず、(1)型の整列法が(2)型あるいは(3)型の整列法に勝るのは,有限個のnおよび有限個のkの値においてのみである。従って,(1)型の整列法は有用ではない。(2)型の整列法と(3)型の整列法を比べると,nを固定してkを変化させたとき,kが大きいときには(2)型の整列法,小さいときには(1)型の整列法が適している。 2.ブロックソートへの入力の持つ事前整列性測度の研究 Burrows-Wheeler変換を利用した情報圧縮においては,ブロックソート処理がその実行時間を左右する。ランダムな情報を圧縮するときのブロックソートへの入力の逆転の数,連の数,葉の数について理論的、および実験的に分析し、ブロックソートにはどのような整列法が適しているか,ということについて,いくつかの指針を得た。
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