研究概要 |
社会では自然言語で書かれた膨大な量のテキストが蓄積,流通するようになってきているが,自然言語を(例えば1センテンス単位で)知識表現形としてとらえる場合,曖昧性を排除して意味を一意に確定する自然言語理解の困難さは別にして,組み合わせて使う,即ち連鎖的な推論を働かすことが困難であるという問題がある.このような問題への一つのアプローチとして,自然言語表現に近く,1対1(一意)に近い関係で相互変換可能であり,かつ推論機能も併せ持つ知識表現形として,我々が「概念化学表現(Concept Chemical Representation(CCR))」と呼ぶ技術の研究開発を行う.これは論理との関係で言えば,述語諭理の表現の汎用性,自由度を自然言語表現に適合するように制限を加え,かつ日常使用する自然言語表現に潜在的に内在する推論パターンを背景知識として埋め込んだ知識表現/推論系である.概念化学表現(CCR)の元になるアイディアは化学者である木本協司氏((有)ミレーヌ)によるものであり,1998年から共同研究を進めてきた.平成13年度はこの延長上に,基礎の充実と有用性の実証的研究に関する以下の研究を行った. 1)自然言語表現の格,形容詞,副詞,複合文の記述が明確にできるようにCCRの記述仕様を定め,LISPによる推論機能を含むシステムの処理系を作成した. 2)実用的有用性検証の対象として,アンケートの自由回答文の部分をCCRに変換し,多数回答者の意見の冗長部分を排除するなどして集約するシステムの作成を行った.
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