研究概要 |
WWW(Web)を中心に自然言語で書かれた膨大な量の情報や知識が流通,蓄積,共有されるようになってきている.これら自然言語文を(例えば1センテンス単位で)知識表現形として捉える場合,曖昧性を排除して意味を一意に確定する自然言語理解の困難さは別にして,組み合わせて使う,即ち連鎖的推論を働かすことが困難であるという問題がある.このような問題への一つのアプローチとして,自然言語文に適合し,1対1(一意)に近い関係で相互変換可能であり,かつ推論機能も併せ持つ知識表現形として概念化学表現(CCR)の研究開発を行ってきた.このCCRを介して自然言語で表された多数の人々からの知識の統合的利用を図れることを示した. しかしながら,このCCRの知識表現能力は1階述語論理を超えた+αの部分を持ち,推論の完全性の保証がないという課題を有していた.そこで,CCRを基にしながらも,自然言語に適合する表現で,かつ述語ホーン節論理のサブセットに収まるように再設計した知識表現がKRNLであり,推論の完全性の保証が得られている.(しかし,KRNLの現バージョンでは,扱える知識表現の幅は時制が現在形で表される客観的記述に制限されるなどの限定がある.)自然言語文からKRNLへの変換はほぼ一意になり,Webのように多数の人々によって提供される自然言語文での知識の統合的利用が可能になる. 自然言語文をKRNLに変換して利用を図る際に,一連の文の中でどのような概念,キーワードが重要なのかを見定める必要があることから,キーワード抽出,複数文書の要約の研究も並行して行い,成果を得た.
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