研究概要 |
議論するエージェントシステムの構築にとって重要な基礎的課題の研究(以下の(1)と(2))と理論検証のための試作(以下の(3))を行なった.そしてその成果の論文発表を国内外において行った. (1)準無矛盾論理を基礎とした知識表現と議論の構成法 古典論理の意味で矛盾する命題が含まれているような知識ベースであっても、そこから根拠付きの主張を生成したり,議論に参加しているエージェントの知識を合成することを可能としなければならないので、準無矛盾論理を基礎とした知識表現と議論の構成法を与えた.またこの論理を用いることで,「両是」,「両否」といった東洋的認識観を知識として表すことが可能であることを明らかにした. (2)計算弁証法 適切論理に基づく弁証法的論理をもとに,2種類の弁法的止揚の定義(Aufhewbe, Weaker Aufheben)を与え,それを議論過程の中で実現する方法を与えた.これらはHegelによる定立と反定立からの総合プロセスを計算論的に表現したものとなっている,また弁証法のもう一つの重要な側面である弁証去的発展を計算機上に実現するために,Engelsの否定の否定の法則に注目し,これを議論の中で捉える方法を与えた.これらの有効性を具体的に実証するために,電子商取引とソフトウェア工学の問題に適用した. (3)議論するエージェントシステムの試作 知識ベースからの議論、反論の作成はPROLOGで実現し、議論のやり取りの制御、すなわち、議論プロトコルの部分はJAVAで実装した.試作システムは,国際会議のデモセッションでも公開された. 以上の成果のうち,(2)と(3)に関して,次ページの6編の論文として発表した.
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