今年度は推論過程の視覚化論の基礎を確立し、プロトタイプシステムをインプリメントした。本研究で扱っている推論手続きは再帰構造をなしているので、その推論過程を視覚化するにあたり、再帰構造を直観的に表現できる包含関係を用いた。包含関係を用いた図の代表的なものはオイラー図(またはベン図)であるが、本研究で提案している視覚化方法ではオイラー図の考え方をベースにし、本研究で扱う推論手続きに合うように変更を加えたものである。オイラー図は木構造を表すことができるが、グラフ構造を表すことはできない。今年度は、まず、ある制約を加えた一般論理プログラムが木構造をなすことを示し、それを提案する視覚化方法で表示できることを示した。合わせてそこで矛盾解消を行える可能性を示した。さらに提案する視覚化方法を使って推論の過程を表現できること明らかにし、それに関する論文を準備中である。 また、推論の理論的な成果としては分散化された環境における説明推論系に関する研究を行った。論理プログラムが分散されて保持されている環境においても従来同様の推論手続きを構築しその健全性を証明した。次年度の課題はこの分散化された環境における説明推論系に対応した視覚化システムを構築することである。
|