研究概要 |
今年度の研究目標は,正例からの正規パターン上の決定木の学習アルゴリズムの開発およびその基礎理論の構築である. 1.正規パターン上の決定木の学習アルゴリズムの構築.深さ2の決定木が生成する言語属は,2つの正規パターン言語の共通部分からなる族を含んでいるが,共通部分言語を正例から効率的に学習することが可能か否かはまだ未解決である.本研究では,ある制限を深さ2の決定木に課した族を仮説空間にとり,効率的な学習アルゴリズムを開発した. 2.erasing正規パターン言語の有界和の族に関するCompactness定理.κ個のerasing正規パターン言語の和からなる族に対するCompactnessとは,意味的包含関係と構文的包含関係の等価性が成り立つことをいう.与えられた辞令にできるだけ近い(極小な)仮説を生成するためには,仮説空間に含まれる言語の包含問題が重要であり,Compactnessの下ではその問題が文字列の例化・汎化という構文的な問題に帰着できる.Compactnessと使われる定数文字の個数に関する必要十分条件が得られた.この成果は,パターン上の決定木の学習のみならず,サンプル(文字列の有限集合)の極大共通部分列(MCS)を求める問題へも応用可能である. 3.誤った事例を含む学習の枠組として既に「近傍推論」を導入したが,本年度は,更に理論的に展開し論駁推論や極小推論など従来の学習の枠組との比較を行い,ALT2001で発表した.
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