研究概要 |
本研究テーマは、包絡分析法の意思決定支援への適用法についての提案(包絡分析法と遺伝的アルゴリズムによる事例ベース意思決定支援モデル,情報処理学会研究会論文誌:数理モデル化と応用,Vol.42,No.SIG5(TOM4),pp.89-98(2001))と、決定木アルゴリズムの拡張(複合属性による領域分割を用いた決定木DTMACC,人工知能学会論文誌,第17巻,第1号,pp.44-52(2002))を起点としている。その後、これらのアイデアを有効に融合させるために、「構造情報からの知識獲得」に主眼を置いた研究を行い、グラフ構造とみなすことのできる化学物質を対象として研究を進めた。対象とする化学物質の構造情報を与え、それらの物質に共通して存在する部分構造を抽出すること、さらにどのような部分構造が物質の性質を決定する要因として重要かを評価するために、大阪大学の元田研究室で提案されているGBI (Graph Based Induction)法に改良を加え、決定木生成アルゴリズムと連動させることを試みている。今年度は、遺伝子情報に対して、従来検討してきた手法の応用・拡張を試みた。特に、遺伝子発現データによる疾患分類への包絡分析法の適用に取り組んだ。発現パターンに対して従来行ってきたクラスタリング手法と包絡分析法に基づく分布の特徴分類を相互に利用する取組みである。これは、通常のクラスタリング手法であるk-means法などと比較して、遺伝子発現の分類基準として有効であることが、いくつかの実験を通じて示すことができたといえる。理論的な枠組みも含めて、更に厳密な分析を行なうことによって、新しい手法としての確立を図っていく予定です。また、本研究テーマ途中で、新たに発足したGBI法に基づくグラフマイニングの取組も、今後さらに発展すべく、めどが立った。 4年間を通じた研究テーマとして、先に繋がっていくいくつかの成果が得られたといえる。
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