研究概要 |
ドメイン分析・モデリングは,複雑で大規模なソフトウェア開発での生産性の向上と再利用の促進のために,同じドメインに属する対象システム自身の本来の各種の性質や,開発上の多様な知識を認識し,システム開発に有効な固有なドメインモデルを得る技術である.このモデルは,ドメインのシステムを繰り返して開発する際のひな型として使われ,開発の生産性と再利用性を向上させる.本研究では,いくつかのドメインを取り上げて,そのドメインでのシステムの開発を分析して,個々のドメインに固有な用語,概念,システムのとらえ方などを明らかにしてドメインモデルを構成し,ドメインモデルを活用しやすくするための開発知識ベースを構成する. 本研究では,ドメインモデルの記述手段としてチャートを用いる.チャートは,開発対象のシステムを様々な観点から分析し記述する手段として使われる.一般にチャートでは,システムを構成する要素とその関係が,そのシステムの用語で記述される.種類の異なるチャートでは,要素の種類や関係の種類,接続の仕方が異なる.この要素の種類や,要素間の接続関係を知識ベースに格納し,これを利用した効率的なソフトウェア開発を行う方法を研究する.同じドメインの類似システムをチャートで分析するときに,この知識ベースを使って効率的にチャートを作成できる. 本報告では,(1)MCMの再利用による協調業務の効率的な分析と,(2)システムの分析の進展に伴うモデル図の再利用を特に取り上げて,ドメインモデルの構成法と開発知識ベースの構成法を述べる
|