研究概要 |
1.同期符号化,ランクオーダー符号化等の時間コーディングをカーネル関数の交換により行なうことができるスパイキングニューロンモデルとヘブ学習則,及びスパイキングニューラルネットワークの離散パルス駆動シミュレーションシステムの構築を行なった. 2.視空間エピソード記憶ニューラルネットワークを,レチノトピック競合マッピング回路,フィーチャー競合マッピング回路,視覚的注意調節機構,オート・ヘテロ連想記憶回路,ワーキングメモリ機構からなるネットワークとして構築した.レチノトピック競合マッピング回路は,視覚的注意制御の元に,注視対象の形と色をランクオーダー符号化する.フィーチャー競合マッピング回路は,ランクオーダー符号を自己組織的にカテゴリ分類することにより,注視対象のサイズと位置に関する不変認識を行なう.また,視覚的注意制御において対象の自己中心座標系での方向と相対的大きさが抽出される.オート・ヘテロ連想記憶回路は,カテゴリ,方向,大きさで表わされる対象の組からなるシーン情報を同期符号化に基づき記憶する自己連想記憶回路,それらの前向き系列と後向き系列を記憶するヘテロ連想記憶回路から構成される.連想記憶回路での前向き系列と後向き系列はそれぞれ,θ周期振動を分割する各γサブ周期での同期発火系列により表現される.ナビゲーションにおいては,前向きと後向き系列がワーキングメモリ機構に伝えられ,競合原理に基づき統合されてプラン生成がなされる. 3.移動ロボットのシミュレーション実験により,(1)視空間エピソードを構成する前向き系列と後向き系列を同時に学習可能なこと,(2)ナビゲーションプランが系列想起と系列統合の引き続くθ周期での繰返しにより増分的に合成されること,を示した.
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