研究概要 |
本研究では,顕著牲に基づく注意制御のもとで認識されたシーンの系列を視空間エピソードとして記憶し,その想起に基づき行動プランニングをする認知過程のモデルを,時間コーディングを用いたスパイキングニューロコンピューティングのモデルとして構築し,そのモデルを実装したロボットを用いてナビゲーションにおける本モデルの有用性を実験的に評価した.第1に,顕著性に基づき注目されたスポット内のオブジェクトをその位置と大きさに関して不変的に符号化すると同時に.その注目スポットの位置と大きさを符号化することによりシーン認識を行なう「相互結合を有する二層の成長型競合スパイキングニューラルネットワーク」に基づくモデルを提案した.そして,本モデルを実装したカメラつきケペラロボットのシミュレーション実験により,個々の注目スポットに含まれるオブジェクトの位置と大きさに不変的な認識が非常に高い確率で達成されること,及びそれらの位置関係が認織できている,即ちシーン認識がほぼ完全にできていることを確かめた.第2に,エピソード記憶とその想起に基づくプランニングのモデルとして,「ワーキングメモリモデルと結合した自己/ヘテロ連想スパイキングニューラルネットワーク」を提案した.そして,本モデルを実装したロボットによる経路プランニングのシミュレーション実験により,エピソード記憶のための系列学習性能に関して,現在のポイントからの注目シーンの前向き系列とゴールポイントからの後向き系列が,同時にかつ高速に学習可能であることを確かめた.また,プランニング牲能に関して,経路プランが,引き続くシータ周期での系列想起と系列統合の繰返しにより増分的に合成されること,特に.前向き系列想起が複数の分岐を持つときは,系列統合におけるゴール指向競合選択操作がそれら分岐から1つを選択するための一種の注意制御を遂行しうることを示した.
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